DMM.make AKIBAのビジネスメディア「FACT」

CES2018――スタートアップが見た今年のCESモビリティ産業のこれから

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米ラスベガスで毎年1月(2018年は1月9~12日)に開催される家電・情報・通信・エレクトロニクスに関する総合展示会「CES」。

大企業からスタートアップに至るまで、世界中の企業が出展する世界最大規模の展示会で、テクノロジーの最新トレンドを占う意味でも注目度は高く、多くのメディアが報道しているので、ご存じの方も多いでしょう。

日本から出展した企業や展示会に参加したメディアから見た2018年のCESを語るイベント「CES2018報告会 by JAPAN TECH」が、1月23日にDMM.make AKIBAで開催されました。

CESは「近い未来を確かめる場所」

(報告:JAPAN TECH PROJECT 森澤友和氏)

JAPAN TECH PROJECT

森澤氏による報告では、CESの基本情報と今回のトレンドについて語られました。

CESの会場総面積は275万平方フィートであり、東京ドーム5.4個分の大きさとなります。昨年度の実績では来場者の合計数は184,279人にのぼり、日本からは4,680人が参加しましたが、これは米国外からの参加者では中国・韓国・フランスに次ぐ4番目の数でした。

CESは新しいテクノロジーの見本市として、SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト―毎年3月に米国テキサス州で行われる、音楽・映画・インタラクティブなど幅広いメディアを扱う大規模なイベント)と比較されることも多いようです。

CESでの展示物やサービスは、SXSWでのそれと比べ、かなり現実的なレベルの技術・製品であり、その場で商談可能なレベルのものが多いことが特徴です。その意味で、森澤氏はCESを1年後や2年後といった「近い未来を確かめる場所」として位置づけています。

たとえば、2017年のCESではAmazon Echoが会場を席捲していましたが、これはその後のAIスピーカーの普及を先取りしていたと解釈できます。2018年のトレンドとしては、要素技術として「5G」「AI」「ロボティクス」、ビジネスの対象として「指紋や光彩・表情などの生体認証」「AR・VR・MR」がピックアップされていました。

また、国の主導でスタートアップを中心とした複数社がブースを出展するケースも増えていることが紹介されました。フランスを筆頭に、オランダやイギリス、イスラエルやシンガポールなどが各国のブースを構え、日本からも「JAPAN TECH」として12社が共同出展しました。2019年にはスタートアップの花形であるEureka Parkでの日本ブース出展を目指しており、今年の春には出展企業の募集を開始する予定とのことです。

スタートアップから見たCESのメリット

(報告:no new folk studio CTO 金井隆晴氏)

no new folk studio

CESに出展するスタートアップは、どのようにCESを捉えているのでしょうか。

ソールが光るスマートシューズ「Orphe」を展開しているスタートアップ「no new folk studio(以下:nnf)」は、スマートフットウェアのプラットフォーム「ORPHE TRACK」をCES2018に出展しました。さまざまな靴に搭載可能なモジュールが足の動きを分析し、ランニングフォームや健康状態のアドバイスなど、ライフスタイルに応じた活用が可能なプロダクトです。

一見すると、nnfのプロダクトはCESよりもSXSWとの相性が良いように思われます。実際、LEDの制御や他の機器と連動によってパフォーマンスを拡張するOrpheは、2015年のSXSWに出展されました。

それでも今回「ORPHE TRACK」をCESでリリースした理由について、nnfでCTOを勤める金井氏は「事業パートナーを探すことが目的だった」と語ります。

スマートシューズで取得したライフログを活かすビジネスの展開として、フィットネスや健康保険と組み合わせることを考え、こうした事業を扱うパートナーを探すための国際的な場所としてCESを選択したという経緯がありました。実際、会期中にフィットネス分野でのパートナーが決まったほか、防水加工などの技術シーズや世界各国のスマートシューズについても、企業の担当者とフランクに情報交換をすることができたと金井氏は振り返りました。

ブースに訪れる人の数については、配置による影響が大きいようです。nnfの隣のブースでショーが開催されるタイミングでは多くの人が集まりましたが、それ以外の時間帯だと人はややまばらだったとのこと。実は、初めてCESにブース出展する企業は、会場内での配置を自分たちで選ぶことができません。何度も出展を重ねていくと、CESに対するロイヤリティ(忠誠度)が評価され、良い場所に近づいていける仕組みになっています。nnfが初めて単独ブースを設けたのには、そういった今後への期待も含まれているため、来年以降も出せるものがあれば引き続き出展していきたいと意気込みを語りました。

自動車とITが交わるモビリティ産業

(報告:モビリティ専門誌『LIGARE』編集長 井上佳三氏)

LIGARE

自動車新聞社の井上氏いわく、これまでの自動運転のトレンドでは、あくまで人の運転を補助するために段階的に導入しようとする自動車メーカーと、最初から人が運転しないことを前提にしているIT企業側のアプローチに二分されていました。しかし、トヨタが今回のCESにおいて、自動車会社からモビリティ・カンパニーへの変革を宣言したことで、その距離は縮まっていくことが予測されます。

「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」という言葉が広まっていますが、これはモビリティをA地点からB地点への移動だけに使うのではなく、様々なサービスや体験を提供するための媒体として捉える考え方。これまでは人がサービスを受けるために移動してきましたが、MaaSではサービス側がユーザーの元まで移動してくることが可能になります。トヨタがMaaSのプラットフォームとして発表した「e-Pallett」は、他のサービス事業者や自動運転技術パートナーに必要なAPIをオープン化するなどしながら、2020年の実用化を目指しています。

また、井上氏は通信とサービスの管理が可能な車載ユニットとしてデンソーが開発している「Mobility IoT Core」を紹介し、車両の遠隔操作や地図上でのサービス可視化機能などをピックアップしました。MaaSではニーズが多様化し、人とモビリティのマッチングが課題になると予想されるため、ルートや配車台数を最適化するAIも並行して開発されており、将来的には部品ごとの故障予測なども可能になると発表されています。

IT企業からモビリティ分野へ大きく進出した企業の中でも、井上氏が一番注目したBaiduでは、音声認識と人工知能を組み合わせたOSを開発し、室内用の清掃機から大型のバスまで、多様なモビリティを同じプラットフォームの中で運用しようとしています。提供するサービスやそれに付随するハードウェアの設計も含め、IT企業からモビリティへの参入が加速することを感じさせる報告となりました。

(聞き手、編集:淺野義弘)

 

 

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