DMM.make AKIBAのビジネスメディア「FACT」

欧州最大のスタートアップイベント「Slush」に向け、電通がDMM.make AKIBAとタッグを組む理由とは

国内広告代理店最大手の電通といえば、大企業をクライアントとしたマーケティング・コミュニケーションを主な事業領域としているという印象を持たれる方も多いだろう。その電通がDMM.make AKIBA(以下、AKIBA)と組み、フィンランドで開催される欧州最大規模のスタートアップイベント「Slush」に向けたツアー企画(※詳細はこちら)に取り組んでいる。

 

なぜオープンイノベーションなのか、なぜSlushなのか――その背景について、電通のソリューション開発室の古川裕子氏に、エヴァンジェリストの岡島がお話を伺った。

 

――大手広告代理店というイメージが強い電通ですが、オープンイノベーションやスタートアップに注目されている理由を教えてください。

 

電通 古川裕子氏(右)とDMM.make AKIBA 岡島(左)

 

古川氏:弊社では、マーケティング・コミュニケーション領域以外にも、クライアントに対する事業支援として、経営課題・事業課題の解決といった統合的なソリューションも提供しています。
クライアントは大手企業が多いのは確かですが、これから大きく成長していく若いベンチャー企業とも一緒に走っていけるよう、ビジネスのドメインを広げようとしています。

 

ビジネスのドメインを広げ、ベンチャー企業も事業支援の対象に

古川氏:ベンチャー企業の場合は、そもそも新しいビジネスをしている企業。どんな技術を持っているのか、どんなビジネスモデルの会社なのか、分かりやすく伝えたり、創業の熱い想いを伝えたり、自分たちのミッションやビジョンを言語化し、企業というキャラクターをデザインするところからお手伝いすることになります。広告、PR、コミュニケーションだけにとどまらず、経営の根幹の部分からパートナーとして入り、会社の未来を描いていくというケースが多くなります。

 

――大企業とベンチャーでは事業支援の内容もずいぶん違うのですね。

 

古川氏:そうですね。もちろん、大手企業でも経営に携わる方ともお仕事させていただいてはいます。一方で、ベンチャー企業の支援については電通としても、さらに付加価値の高いサービスを提供していく可能性があると感じています。

 

 

――AKIBAでは企業の新規事業開発担当の方に「オープンイノベーションの担当になったが何をやっていいのかわからない」と聞かれることがあります。

 

古川氏:日本の大手企業には、既存事業が鈍化傾向にあり、新たなビジネスを生み出す必要があるという焦りや課題意識があると思います。そこで会社のミッションとして新規事業の立ち上げにアサインされているというパターンは多いですね。

 

ただ、新規事業を担当されている方は、社内で孤立しやすく、周りからも理解や協力が得られないという悩みも多いようです。新しい製品やサービスを磨き上げ、成功確率を上げるためにも、同じ悩みを抱える人同士で励まし合えるようなコミュニティの必要性も感じています。

 

――今回企画する「Slushツアー」には、大手企業とスタートアップの関係を滑らかにするという狙いがあります。具体的にどのようなものになりますか?

 

スタートアップイベントの臨場感、熱量を感じられるツアー

古川氏:Slushは、ヨーロッパ最大のスタートアップイベントです。スタートアップと大手企業が出会い、ビジネスのためにディスカッションするための舞台で、ここ数年注目されています。私たちは、日本のビジネスパーソンと共に現地に赴いて、ぜひ現地の空気感を直接感じていただきたいと思っています。

 

――ヨーロッパ、とくに北欧の情報は、ほとんど日本まで届いてこないですね。イベントレポートのようなものも流れてはいますが、とてもそれだけでは内容が掴みきれません。実際にフィンランドに行って、Slushというイベントに直に触れて感じること、現地で自ら体験することが大事だということですね。

 

現地に行ってSlushの臨場感、空気感を知ってほしいと語る古川氏

 

古川氏:自分の課題をもった人が、現地で直接情報を取ることが大切ですね。それに加え、オープンイノベーションを加速させている大手企業側のやり方にも注目したいですね。組織論的な部分もありますが、とにかく意思決定が速い。日本だといったん持ち帰って、というケースが多いですが、その場で決めるスピード感もオープンイノベーションには必要なのだと実感できます。

 

そして、もっとも重要なことですが、単なる視察ツアーや表敬訪問では終わらないようにと思っています。今回のツアーでは、日本を出発する前から参加者と一緒に「予習」をしっかりしようと考えています。参加される方の課題を事前に確認して、どういう目的で行くのか、どのようなビジネスを考えているのか、そのためにマッチングしそうなスタートアップはどこなのか、どのように協業するのかまで見据えて、ツアーの運営側でお世話をしたいと考えています。

 

ビジネスにつながる具体的な成果を目指す

――予習や復習は大事ですよね(笑)

古川氏:はい、でも一人でやっても楽しくありませんし、心が折れますよね(笑)今回のツアーには、課題意識を持たれている方、悩みを持たれている方、いろいろな業種、職種の方に参加してほしいと思っています。もちろん、異業種から集まってくると共通言語がなくて相手に伝えたいことが伝わらないこともあるかもしれません。その時は、わかる人が橋渡ししてあげることで、他の参加者の方々の状況なども理解し合いながらシェアできればと思っています。

 

同じくらいのレイヤー、立場にいる人たちと一緒に予習や復習することで、もしかしたら参加者同士で盛り上がって、そこに新たなビジネスが生まれるかもしれません。そして、産業分野が違う複数の企業が同じ1社のスタートアップと向き合うようなケースでは、そこにこれまでとは違うバリューが生まれる可能性もあります。今回のツアーでは、そんな化学変化が起こることも期待しています。

 

――Slushに参加しただけで終わらず、復習して継続していることが大事だと。

 

古川氏:ツアーの参加企業、Slushのスタートアップ、各社の強みを持ち寄って、どのようにビジネスを広げていくのか。イントレプレナーの育成を含めていろいろなノウハウで先行するDMM.make AKIBAと、新しい技術をもったスタートアップ、そして各社間のコミュニケーションを加速させる電通が集まることで、参加企業の新規事業を作り出す成功確率が高まってくると思います。

 

スタートアップエコシステムの輸入も念頭に取り組みたい

古川氏:その上で、Slushでヨーロッパの企業やスタートアップの考え方、やりかた、その空気感を学んで日本でも同じようにやりたいですね。それを1社だけでなくコミュニティとして作ることができると素晴らしいと思います。

 

参加企業とスタートアップとの協業実現に加え、エコシステムの輸入も狙う

 

古川氏:日本でもオープンイノベーションを先行して進めてきた方々は、いろいろな点で苦労されていて、他の方が同じような苦労や失敗をしないように、できれば共有してあげたいという考えの方も多くいらっしゃいます。日本のスタートアップを盛り上げていこう、先輩が後輩に教えながら一緒にやりましょう、という流れができればと思っています。このツアーをきっかけとして横のつながりを作り、自分たちの力にもしたいですね。

 

――電通にとっても初めての経験になりますね。

 

電通がDMM.make AKIBAと組むということ

古川氏:これまでは、ひとつひとつの案件の精度をあげていき個社の成長に貢献する、という取り組み方でしたが、今回AKIBAとご一緒させて頂くなかで、PoC(

Proof of Concept=概念実証)のを繰り返しながら進めること、高速でPDCAを回していく、まずはやってみよう、という動きを学びたいと思っています。

 

いま電通では大きなパラダイムシフトが起きようとしています。今まではエージェンシーという立場でクライアントの事業活動に貢献するということをメインにしていました。これからは、電通自体もクライアント、メディア、コンテンツホルダーなどといっしょにビジネスをつくっていったり、独自で事業を立ち上げるといったことも加速させようとしています。

 

今までのやり方とは違いますからハードルも高いのですが、AKIBAと組んでアウトプットやバリューを出すことも、これからの私たちの仕事のテストケースだと考えています。電通としてもこの企画自体がPoCであり、大変な部分も多いのですが、それだけ得られるものも多いと信じています。

 

――参加者にとって、このツアーで得た学びをどう生かすべきとお考えですか?

 

古川氏:小さくてもいいので、成功体験を積むことだと思います。単に勉強になりました、ではなく、これをきっかけに小さなプロダクトを作ってみる、例えばそれを社内で売ってみる、得られた新しい知見を形にしていく、そうすることで成功体験を積み重ね、大きな新規事業へとつながる原動力にできます。

 

それを進めるにも、やはり一人だと心が折れてしまうかもしれません。ツアー参加者のコミュニティの中で、例えばAKIBAでこれが作れるとか、電通がロゴやパッケージを作れるとか、そうしたことが社内を納得させるための道具になれば、成功する確率が一気に何倍にもなるのではないでしょうか。

 

各社が持っているコア技術があったとして、それをSlushで知った技術と組み合わせてやりたいとなった場合、社内でプレゼンするときも少し資料や試作品の見栄えが良くなるだけで全然違ってきます。各社が得意とするところを少しずつ出して、組み合わせていくようなことが、このコミュニティの中で実現できたら最高ですね。

 

オープンイノベーションの今と未来を知る「Slushツアー」

今回ご紹介したSlushツアーを現在ご案内中です。

日程は12月2日から12月7日まで。費用はお一人につき972,000円です。

詳しい情報をお知りになりたい方は以下のお問い合わせフォームまでお気軽にお問い合わせください。担当者より追ってご案内をお送りします。

https://akiba.dmm-make.com/form/media/index

岡島康憲
DMM.make AKIBAの企画・運営及びエヴァンジェリストを担当。 電気通信大学大学院修了後、ビッグローブ株式会社にて企画運営を担当。 2011年、岩淵技術商事株式会社を創業。自社製品開発やハードウェア商品の企画支援を行う。 2014年よりDMM.make AKIBAにジョイン。 2017年、IoTセンサー向けプラットフォームを提供するファストセンシング株式会社を創業。
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