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日本人が知るべきスタートアップ政策――CESで世界中を驚愕させたフランスのフレンチテック

世界的に注目を集めるフレンチテック

CES 2017に「FRENCH TECH」の文字を掲げて乗り込んだフランスのスタートアップ勢

CES 2017に「FRENCH TECH」の文字を掲げて乗り込んだフランスのスタートアップ勢

ラスベガスで開催される世界最大の家電見本市CES(Consumer electronics show)、2017年の実績では3700社が出展、世界中から17万人が来場しました。

そのCES 2017で、フランスのスタートアップが大きな注目を集めたことはご存知でしょうか?CES 2017のスタータアップ出展数では、フランスはアメリカに次ぐ2で、実に172のスタートアップが参加しました。

2018年1月9日~12日に開催されるCES 2018でも、Business France(フランス貿易投資庁)が主催するフレンチテックパビリオンにおいて、最も有望なスタートアップとして選出された25社が出展、今後のテクノロジートレンドを紹介されました。

いまフランスではスタートアップが熱い

これまでフランスには伝統的な産業・企業が多いというイメージが持たれていましたが、フランスの新規雇用の58%を創出しているのは、実は全体の7%を占めるスタートアップによるものというデータもあり、いまフランスのビジネス界隈ではスタートアップがとても熱いのです。

そして、フランスのスタートアップにとってなくてはならないもの、それがフレンチテック(La French Techと呼ばれるプログラムです。

フランス政府が主導するスタートアップ支援のエコシステム「French Tech」

フレンチテックは、フランス政府が2014年に開始したスタートアップ支援プログラムで、以下の3つの戦略を柱としています

・フランス国内の13の主要都市に多様なネットワークを構築

・スタートアップの成長の促進

・フレンチテックの国際的な促進

統一したブランディングとメッセージ

「スタートアップによるスタートアップのためのムーブメント」と呼ばれているフレンチテックですが、最も特徴的なのはフランス政府が主導するエコシステムだということです。フランスのマクロン大統領は、大統領就任以前の経済・産業・デジタル大臣時代(2014~2016年)から積極的に関与・PRするなど、同事業を推進してきました。

IoT単独の展示会としては欧州最大規模とされるSido

IoT単独の展示会としては欧州最大規模とされるSido

これは、2017年4月にフランス第2の都市リヨンで開催されたIoT展示会「Sido」に参加した際の写真ですが、会場では「French Tech」や「French Tech Lyon」のロゴが掲示物や休憩スペースの椅子など至る所に使われていて、統一したブランディングを感じました。日本などでは支援のための拠点やプログラムも「点」で用意されている印象ですが、French Techというブランドを利用し、広がりをもった「面」としての支援が提供されています。

スタートアップの支援プログラム「Pass French Tech」

そして、フランス国内で活動する特に優れたスタートアップにはPass French Tech」というプログラムを通して様々な支援が提供されています。Passの申請を希望するスタートアップは、シリアルアントレプレナー(連続起業家)、アクセラレーター、パートナー企業へのピッチなどを通して選定、1年間のプレミアムサポートを受けられることになります。2014~15年のプログラム年度には48社が選ばれ、2015~16年では66社、最新の2016~17年では87社が急成長企業として表彰されています。

出展:「ENTREPRISES EN HYPER-CROISSANCE #2016 #2017」―Pass French Tech

出展:「ENTREPRISES EN HYPER-CROISSANCE #2016 #2017」―Pass French Tech

上図は2016~17年に表彰された87社に関する統計ですが、87社がVCから調達した資金総額は6億7100万ユーロ(約916億円)、売上高の伸びは134%、海外からの資金調達率は平均44%となっています。そして50カ国以上に進出し、世界中に5683人の雇用を創出しています。

Pass French Techに選定されたスタートアップは、フランス国内主要都市に置かれているオペレーターを通して、French Techに名を連ねる様々な支援団体からカスタマイズした支援の提供を受けることができます。例として、投資銀行Bpifranceによる助成金援助、Business FranceによるCESなどの海外イベントへの招致、INPI(フランス産業財産庁)によるコーチングや知財審査過程での優遇措置、DGE(フランス経済財務省企業総局)による公的企業・機関を活用したアクセラレーションや認知強化などが挙げられます。

海外に広がるネットワーク「French Tech Hub」

そして、このスタートアップへの支援はフランス国内のみならず、「French Tech Hub」と呼ばれるネットワークが世界の主要22都市へ広がっています。このようなグローバルなコミュニケーションキャンペーンによって、フランスのスタートアップの海外進出を促進するとともに、海外のスタートアップをフランスに誘致する取り組みも行っています。

DMM.make AKIBAと共にSidoに展示したスタートアップ6社

DMM.make AKIBAと共にSidoに展示したスタートアップ6社

先ほどご紹介したSidoにも日本から「Atmoph」、「Cerevo」、「Cuborex」、「Cado」、「no new folk」、「Smartmedical」の6社のスタートアップが参加し、うち2社がフランスへのビジネス展開を検討中です。

海外スタートアップを誘致するための「French Tech Ticket」

French Tech Ticket

特に海外スタートアップ向けの施策として「French Tech Ticket」があります。これは、フランス国内への進出を計画するスタートアップを支援するプログラムで、ビジネスコンテストの審査を通過すれば、2万5000ユーロ(約340万円)の事業助成金と2万ユーロ(約273万円)の滞在費助成を受け取ることができます。また、スタートアップのメンバーとその家族の滞在ビザのスピード発行など、テクノロジー分野の才能ある人材をフランスに誘致するためにフランス政府や関係機関が一致して取り組んでいます。

2015年に始まったFrench Tech Ticket Season1には1372社の申請があり、2016年に募集されたSeason2では2倍の2700社が申請するなど、多くのスタートアップがフランスを目指すきっかけになっていると言えるでしょう。

DMM.comはフランス大使館と2016年にMOUを締結しています。日仏のスタートアップを支援するための取り組みを今後も推進していきます。

(聞き手、編集:後藤銀河)

 

 

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上村遥子
DMM.make AKIBAでのコミュニティの活性化を担うコミュニティマネージャーと、スタートアップのリアルを伝えるエバンジェリストを兼務。フランス語を得意とし、FrenchTechとのコラボレーションやフランス語圏との案件も担当している。
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