DMM.make AKIBAのビジネスメディア「FACT」

宇宙から水中、次世代センサーに医療分野まで――要注目の茨城発スタートアップ7社

茨城県が主催する「茨城県スタートアップ支援事業 ベンチャーピッチ」が2019年2月7日、DMM.make AKIBAにおいて開催された。今回のピッチでは茨城県内のスタートアップ企業7社が登壇して、事業内容を説明。ピッチ後の交流会、製品デモ展示を通じて、資金調達や販路開拓、人材確保など、ネットワーキングを構築する機会を提供するものだ。

以下に各社のピッチの概要を登壇順に紹介する。

 

株式会社AGREE

株式会社AGREE 代表 伊藤俊一郎氏

「日本を救うサイバーホスピタル構想」と題して、株式会社AGREE 代表の伊藤俊一郎がピッチを行った。現役の医師である伊藤氏は、日本、特に東京を除く東日本では医師の数が少ないとし、その一方で年間の国民医療費は41兆円と年々拡大傾向にあると述べ、医師不足と拡大する医療費の問題は大きな社会的課題だと指摘した。

チャットボットを使って作成した問診結果を送付すると、医師から症状に対する助言がもらえる

同社が開発する医療相談アプリ「LEBER(リーバー)」は、健康に不安を感じた時、24時間/365日スマートフォンで気軽に医師と相談できるドクターシェアリングプラットフォームだ。アプリを立ち上げ、チャットボットを使った自動問診を実施し、自分の症状など相談内容を送信すると、医師から症状に応じた適切なアドバイスが届くという仕組みだ。さらに近隣で開いている医療機関やドラッグストアのマップ表示機能も備えている。

 

ペンギンシステム株式会社

ペンギンシステム株式会社 高木大輔氏

ペンギンシステム株式会社では、産総研の技術を、研究・産業・医療など様々な分野へ活用する機器や装置の開発を行っている。同社の高木大輔氏は、「嗅覚検査で脳科学や環境問題を解決!」と題して、同社の取り組みについて紹介した。

認知症の早期発見手法として嗅覚検査に着目、より簡便な嗅覚検査を実現する。

高木氏は、日本の社会課題のひとつとして認知症の早期発見の必要性を指摘。アルツハイマー型認知症でみられる海馬の委縮は嗅覚能力の低下につながるという研究を引用しながら、同社の「嗅覚検査装置」開発の背景を説明した。この案件は「つくばSociety 5.0社会実装トライアル支援事業」に採択されており、2019年2月からつくば市で実証実験を開始する。

 

アイアールスペック株式会社

アイアールスペック株式会社 CTO 小倉睦郎氏

アイアールスペック株式会社(IRスペック)は、高感度、高解像度、ワイドダイナミックレンジの「InGaAs近赤外カメラ」を開発するスタートアップ。IRスペック CTO 小倉睦郎氏は、「一般的なシリコン素子では不可能であった夜間や霧、降雨などの状況下でも、高感度かつ高速度での撮影が可能」と、同カメラの特徴を説明した。

InGaAs近赤外カメラの特徴。監視カメラや医療用途で優れた性能を発揮する。

InGaAs近赤外カメラでは、画素を構成するn型半導体の周囲を立体的にp型半導体が覆うことで画素の外への光の漏れを抑えるという独自の「内部電位障壁構造」によって、高解像度を実現している。また、小倉氏は現在自動運転や生体認証で需要が拡大しつつある可視光や900nm以下の赤外光によるリスクを指摘。より安全な1200nmを超える近赤外線を用いる同社の技術により、市場開拓を進めていくと、同社の今後の展望を説明した。

 

トーノファインプレーティング株式会社

トーノファインプレーティング株式会社 代表取締役 平井雄介氏

トーノファインプレーティング株式会社は、真空コーティング、めっき、金型/成形という3つのコア技術を融合し、次世代ディスプレイやセンサー、医療の鍵となる部品を製造、販売するベンチャー企業だ。同社代表取締役 平井雄介氏は、「革新的な微細形状プロセスを用いた次世代部品の商品化」と題してピッチを行った。

プラスチック成形へのHPA-Die技術適用例

平井氏は、AIやIoTの普及、医療技術の進歩によって登場する次世代のカメラやセンサーなどの部品では、ナノレベルの超微細形状の実現が重要だと述べた。プラスチックの微細成形を行うためには従来膨大な設備投資が必要な半導体プロセスが使われているが、同社では独自の特殊コーティング技術「HPA-Die」を金型に施すことで、一般的な射出成型機によるナノレベル形成を実現している。

 

株式会社 SteraVision

株式会社 SteraVision CEO 上塚尚登氏

株式会社SteraVisionは、人間の眼の視覚システムを自動運転やロボットの視覚システムに適用することを目指す産総研発ベンチャー。 「ぶっちぎりの性能を持つスキャナーとLidar」と題し、株式会社 SteraVision CEO 上塚尚登氏は、同社の製品であるLidar走査デバイス「MultiPol」と、光通信技術を応用した新型Lidar「Digital Coherent Lidar」について解説した。

光の波を利用することで高S/N比を実現する

同社がターゲットとする自動運転向けセンサー市場には、大きく分けて車載カメラ、ミリ波レーダー、Lidarという3つの技術がある。上塚氏によると、車載カメラは認識率が高いものの悪天候や夜間に弱く、ミリ波レーダーは逆に遠くまで見通せるものの解像度が悪く、どちらも一長一短だと指摘する。そこで同社のMultiPolでは、カメラ並みの高解像度とミリ波並みに遠くまで見えることを目標として開発した。現在サンプル提供中で、年内の製品化を目指している。

 

株式会社ワープスペース

株式会社ワープスペース 代表取締役 亀田敏弘氏

株式会社ワープスペースは、筑波大学発の宇宙ベンチャー。低コストな衛星用通信モジュールの販売のほか、人工衛星開発、宇宙環境試験、衛星打ち上げなど、宇宙事業開発に必要な一連のサポートを提供する。同社代表取締役 亀田敏弘氏は、月や火星への旅行が現実のものとなりつつある今、宇宙往還時代を迎えるにあたり宇宙機同士の通信を実現する通信インフラの研究が不可欠だと指摘する。

小型宇宙機による宇宙インフラの実現に必要なステップ。

そして具体的には「高信頼性かつ小型低廉の宇宙機」が必要になるとし、そのために設計・開発からロケットによる打ち上げ、そして運用支援まで、一気通貫で効率のよい生産の実現が必要だと説明した。

 

株式会社FullDepth

株式会社FullDepth 代表取締役 伊藤昌平氏

株式会社FullDepth(フルデプス)は、深海探査に水中ドローンを使い、深海をより身近にすることを目指している筑波大学発のスタートアップだ(2018年4月に「空間知能化研究所」から社名変更)。現在は水中ドローンの開発、販売、水中ドローンを活用したサービス提供を主な事業としている。

水中ドローン「DiveUnit300」のスペック。

同社代表取締役の伊藤氏は、国内の市場として「水中インフラの維持、管理」と「水産、養殖業」を挙げ、同社が提供する最大深度300mの水中ドローン「DiveUnit300」と、遠隔リアルタイムモニタリングが可能なクラウドサービス「FullDepth Bridge」による課題解決を提案している。

(取材・文:後藤銀河)

 

DMM.make AKIBA 企業向けサービスについて

DMM.make AKIBAでは企業とスタートアップをマッチングするイベントや、IoT時代を切り拓く人材を育成する研修プログラムを提供しています。

施設の見学や説明会も随時実施しています。まずはウェブサイトからお問い合わせください。

また、FACTの更新情報の他にもビジネスパーソンに有益なイベント情報などのご案内をメールマガジンで配信しています。ぜひご登録ください。

DMM.make AKIBAのウェブサイトはこちら

サービスの一覧及び資料はこちら

お問い合わせはこちら

                    お問い合わせはこちら
FACTの最新記事をリアルタイムでお届けします