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オープンイノベーションの最先端を体感する――ヨーロッパ最大規模のスタートアップテックイベント「Slush 2018」報告会

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株式会社電通とDMM.make AKIBA(以下、AKIBA)が中心となり、フィンランド・ヘルシンキで開催された欧州最大規模のスタートアップイベント「Slush2018」の視察ツアーを実施、その報告会を2019年1月31日に開催した。

オープンイノベーションの最先端では何が起こっているのか、フィンランドの大手事業会社におけるオープンイノベーションの取り組みから最新のスタートアップ事情まで、報告会で紹介されたホットなレポートをお届けする。

※Slushとは?

ヨーロッパ中のスタートアップ3000社が展示を行い、彼らとの商談を目的に世界中から2万人のビジネスパーソン、1600人の投資家が集まるヨーロッパ随一のイベント。毎年12月に開催し、その規模は毎年拡大傾向にあり、世界的な広がりも見せている。

始めに、フィンランド大使館商務部上級商務官の田中浩一氏と渥美栄司氏から、フィンランドという国の紹介とSlush 2018の全体概要が紹介された。

 

フィンランド大使館 商務部 上級商務官 田中浩一 氏

 

フィンランドは欧州の中で最もビジネス環境が整っている国だと言う。出典:フィンランド大使館 商務部

日本とほぼ同じ面積の国土に人口550万人が住む北欧の国フィンランド、どちらかというと馴染みが少ない国かもしれないが、東側と西側をつなぐ重要な位置にあり、グローバルなビジネスを行いやすい国だという。教育レベルも高く、今年で11回目となるSlushも元々はアールト大学の学生によるデモデイが起源だ。

 

フィンランド大使館 商務部 上級商務官 渥美栄司 氏

続いて、Slush2018に参加したというフィンランド大使館商務部上級商務官の渥美栄司氏は、2015年から今回で4回目の参加。Slushには世界中のスタートアップが集まってきており、ピッチイベントのファイナリストにも海外参加のスタートアップが選ばれているという。渥美氏はそれを「スタートアップのワールドカップ」と表現し、大規模に同時並行で進むイベントを有効に利用するため、産業領域ごとに開催されているサイドイベントや企業ブースなど、自分の目的に応じて使い分けていくべきだと語った。

参加したメンバーによる報告概要

続いて、今回のツアーを企画・担当した株式会社電通の尾崎耕司氏から詳細な参加報告が行われた。

 

株式会社電通 尾崎耕司 氏

尾崎氏は、北米や中国などスタートアップ文化が発展し盛んになっているが、企業の文化や社会情勢の違いなどから、日本の企業がそのまま応用することは難しいと指摘する。その一方でフィンランドのエコシステムには、比較的日本との共通項が多く、日本の事業会社を始めとする産官学にとって参考になることが多いという。

 

Slushは2008年から始まり今回で11回目の開催となる。出典:株式会社電通

Slush 2018には、来場者2万人、スタートアップ3000社以上が参加し、実施されたミーティング数は来場者とほぼ同じ2万件だったという。

尾崎氏は、大手事業会社の活動事例として、フィンランドを代表するグローバル企業ノキアを取り上げた。かつては世界最大の携帯電話端末メーカーだったが、スマートフォンの台頭により経営方針を転換、オープンエコシステムネットワークの推進に注力し始めた。特に次世代5G通信関連のプロジェクトで積極的にスタートアップと連携しマネタイズしていくなど、エコシステムの中で、企業としてのポリシーが感じられたと語った。

そして尾崎氏は、フィンランドのSlushの特徴として、アメリカ西海岸のスタートアップイベントと比較して、社会課題の解決を掲げる企業が多いという。そのため参加する側も、自社の志やビジョンを明確に持って、コミュニケーションすることの必要性を指摘している。

今回のツアーでは、電通とAKIBA以外の企業からも参加いただいている。その1社GMOクラウド株式会社から、グローバルサービスプロバイダー事業部テクニカルアドバイザー櫟香菜氏に登壇いただいた。

GMOクラウド株式会社 グローバルサービスプロバイダー事業部 テクニカルアドバイザー 櫟香菜 氏

Slush初参加という櫟氏は、イベント2日間という日程に対して収集すべ情報量が膨大なため、特に優先度の高いサイドイベントの選択が重要だとし、JETROや電通、AKIBAなどを通じた事前情報収集と準備の大切さを感じたと述べた。

Slush 2018に出展した京都のスタートアップmui Lab

また今回のSlushツアーには、実際にSlush 2018に出展した日本のスタートアップが参加している。そのmui Lab, Inc.のCEO大木和典氏から、展示内容や反響、出展のメリットについて報告いただいた。

 

mui Lab, Inc.CEO 大木和典 氏

「mui(ムイ)」は、一見すると家具のようだが、表面に触れるとデジタルインターフェースとして機能するという天然木製スマートデバイス。クラウドからのニュースを文字で表示したり、スマートホームのコントローラーやインターフェースとして機能する。木の持つナチュラルな温かみによって、効率だけでは測れない家庭内の時間を大切にできるデバイスを提案している。

 

大木氏はイベント期間中ブースを訪れる企業担当者らに対し、100回以上ピッチを繰り返したという。今回のSlush参加は、EU圏のグローバル企業へアクセスすることが目的だったが、ファーウエイやドイツ鉄道のオープンイノベーション担当からコンタクトがあり、現在も継続中とのこと。ノルディックデザインの本場でも評価されたことが自信につながり、ピッチを通してmuiが掲げるストーリーが磨かれたことで、その後参加したCES 2019での良い結果につながったという。

日本で開催される「Slush Tokyo2019」

フィンランドが発祥のslushだが、今では世界中で関連イベントが開催されている。日本で「Slush Tokyo」を運営する一般社団法人Slush Tokyo COO柿嶋夏海氏から、2019年2月に開催される「Slush Tokyo 2019」などの紹介があった。

一般社団法人 Slush Tokyo COO 柿嶋夏海 氏)

東京での開催は今年で5回目、昨年は77カ国から7000人が参加するビッグイベントへと成長した。パートナー企業も増え、日本に興味を持っている海外からの学生ボランティアの参加も多いという。特に今年からの新たな取り組みとして、創業2年以内のスタートアップが成功した起業家からメンタリングを受けられるというメンタリングプログラムをスタートする。また、投資家からだけでなく、ポテンシャルカスタマーとなる人々からフィードバックやQ&Aの機会が持てるピッチイベントも予定しているとのことだ。

(取材・文:後藤銀河)

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