DMM.make AKIBAのビジネスメディア「FACT」

IoT/ICTで課題を解決できる現場力を育てたい――DMM.make AKIBA「企業向けにIoT人材育成研修」を導入したJR東日本テクノロジーの狙い

DMM.make AKIBAでは、企業向けにIoT人材育成研修を実施しています。具体的な研修内容は、導入企業に合わせたカスタマイズを行いますが、大きくわけて以下の3つのステップから構成されています。

・IoTを活用したアイデアを考える
・そのアイデアが本当に便利か「検証する方法」を考える
・検証に必要な「試作品」を作る

今回、企業向けIoT人材育成研修を導入いただいた企業の事例紹介として、JR東日本テクノロジー株式会社企画本部経営企画部主事の小黒恭平氏にお話を伺いました。

JR東日本テクノロジー株式会社企画本部経営企画部主事 小黒恭平氏

――まず、企業向けIoT人材育成研修を導入の経緯について、教えてください。

小黒氏:数年前から課題として捉えていましたが、弊社の中でIoT、ICTに関わる技術者が少ないということと、先端技術に触れる機会が少ない、技術者としてのレベルをどう上げていけばいいのか、という問題意識がありました。
そこでDMM.make AKIBA(以下AKIBA)とコンタクトして、現場ごとにチームを作り、集中的な講座を受講することでレベルアップしたいと依頼し、今回IoTハッカソンという形で実施したというのが背景です。各現場間のレベルを共通しながら、現場の課題を解決するための技術開発に昇華させたい、という狙いがありました。

今回参加したのは8つのチーム。事前にサテライトでプレIoT研修を実施した後、2日間の集合研修に参加した

 

事前のプレIoT研修で、現場の課題を確認・準備する

AKIBA 日野:課題の抽出とアイデアの創出までは、事前に各拠点で実施していただいていました。集合研修では、1日目午前にハンズオンを実施して、午後からハッカソンに入ってもらいました。最初に各チームからアイデアを発表してもらって制作に入り、2日目も制作を継続して、15時から成果発表という流れでした。

集合研修の様子

集合研修のスケジュール

――御社で普段実施している研修と比べていかがでしたか?

小黒氏:外部講師による一般的な層別研修がほとんどなので、今回のように各拠点からチームを組んで集まる形式や技術的な要素があるという内容は初の試みでした。

――初めての研修ということで、運営や企画上での難しさはありましたか?

小黒氏:一番大変だったのは、参加者の日程調整ですね。参加メンバーは現場を離れて出席する必要があるので、大きな拠点であれば対応もできますが、小さな拠点は難航しました。参加した8チームのうち2チームは、拠点をミックスして編成しています。

 

研修後の実践を見据えて現場単位でチームを編成

――参加者の様子はいかがでしたか?

小黒氏:一般的な層別研修と違い、今回は地区ごと現場ごとのチーム構成としました。研修の成果を現場に持ち帰った後、実践するときにやり易いだろうという狙いから、職場での上下関係もそのまま持ち込んだチームにしました。これは狙い通りでしたし、各拠点間での繋がりもできました。

Raspberry Piを搭載したPiTOPを使い、チーム内で協力しながらハードとソフトを実装していく

研修の様子を見た弊社の社長からも、「普段の研修は固い印象で、静かにやっている。今回はずいぶんと元気で賑やかにやっているね」と言われました。1泊型で頭を使う研修だったこともあり、参加者同士打ち解けた雰囲気ができたのは良かったです。

 

人任せにせず、自分たちで作ることで、現場のレベルが上がる

――研修内容からはいかがでしょうか。狙いとして、IoT/ICT技術を利用して現場の課題を解決したかったと伺いました。

小黒氏:各現場では、日常業務の改善提案活動を行っています。課題をリストアップし、チームを組んで技術を使って課題に取り組んでいますが、「効率化のために治具を作りました」というのが多くて。例えば1人が1日かけて作業していたことが、治具によって半日でできます、年間でコストが100万円下がります、といった改善提案が多いです。

もちろん通常の改善活動も大切で、必要です。ただ、物理的なモノを使うことの提案はあるのだけれど、IoT/ICT技術やセンサー類を使ったり、電圧を測定したり、といった提案は殆どありません。

――これまでは、改善のツールとして、IoT/ICTが選ばれてこなかったと。

小黒氏:やっている部門もありますが、最初から外部業者にお願いすることが多く、なかなか自分たちのものにはなっていません。業者に依頼するにしても、こちらの意見をしっかりと伝え、業者からの提案に対しても内容やコストの相場感を持って、精査できる位のレベルにしたいというのが背景にあります。

IoT/ICT技術を使ったものづくりを経験することで、業務改善への応用が考えられるようになる

業務の改善提案も、課題をIoT/ICTで解決できないのか、最新の技術を知らないとそれがわからない。今回、AKIBAからアドバイスをもらいながら、現場での改善を考えるための研修にできたのは非常に良かったと思います。

――普段の提案よりも良いものが得られましたか?

小黒氏:ある意味、強制的にIoT/ICTを使って課題を解決すること、という研修にしたことで、普段とは違う切り口の提案、プラスアルファが生まれてきたと考えています。次は、これを各拠点で具体的な改善に繋げられればと考えています。

AKIBA 日野:今回、ハッカソン研修と呼んでいますが、事前に準備して頂けたのが良かったです。事前にアイデアを確認できましたので、こちらの準備期間も取れましたし、2日間スムーズに運営できました。今回8チームに対して講師3人で対応しましたが、想定していた以上にスムーズに進められたと感じています。

期間が限られているハッカソンでは、ある程度の経験者を用意するか、難しい場合は事前準備が大切になる

AKIBA 日野:参加メンバーは、メカの経験者が中心と聞いていましたが、プログラミングも少し説明するだけでわかってもらえるメンバーがおり、チーム構成をしっかり考えて頂けたことが、ハッカソンで良いアウトプットが出せたことに繋がったと思います。もちろん通常のハッカソンのように事前なしでやっても面白いと思いますが、今回拠点ごとにリテラシーに差があるという事実がありましたから、事前準備は良い方向に働きました。

――今後の進め方は、どのように考えていますか?

小黒氏:今回集合研修として1カ所に集めて実施しましたが、それぞれの現場でやって欲しいという声がでています。教材として使ったpi-top(Raspberry Piを組み込んだノートPC) を貸してくれという拠点も出てきています。鉄は熱いうちにと言いますが、背中を押すなら今だと思っているので、早い時期にもう一度やりたいと思っています。同じメンバーを集めてやるのか、成果が出そうな拠点に出向いていって現場でやるのかを検討しています。

先ほど拠点ごとにリテラシーに差があると言いましたが、属人的に仕事をしているところがあって、現場全体のリテラシーを上げる必要があります。それに、現場の管理職は、業務全体をかみ砕いて、各メンバーに仕事を振り分けなければいけないのに、リテラシーの差から自分で抱え込みがちになる。こういう研修を現場で行うことで、チーム内で仕事を振らざるを得ないので、そういう面でも良い結果が期待できると考えています。

 

現場からIoT/ICTを使った改善提案が出せる人材の育成が大切

――現場で研修を行うことで、現場の力を底上げするという狙いでしょうか。

小黒氏:もちろん全体のレベルが上がるに越したことはないのですが、まずは今回研修に参加した人たちが現場での困りごとの聞き役になってくれれば、と思っています。現場でここが困っている、こうしたいという話を聞いて、それを提案できる人が何人か育ってくれれば、と思っています。

これまでは、現場でこういうことがやりたいと思っても、それを言う機会もない。やったところで、評価もしてくれない。それが、現場が言ったことに対して本社が動いてくれるとなれば、心強く感じてくれるようになると思います。これまでは言っても本社はやってくれないという見方が現場にあって、そうではなく、言えばやってくれるということが伝われば、意欲も高まってくると思います。今回もすぐにでも実現できそうなアイデアが何件か出ていますので、本社としてサポートして進めたいです。

特に一般的な計測装置が適用できない現場では、状況の確認が大切と指摘するAKIBA 日野

AKIBA 日野:今回鉄道事業者ということで、現場の状況も家電製品の製造ラインなどとはまったく違います。ボルト1本にしてもサイズもトルクも比べられないほど大きくて、どんなツールが適用できるのかもわからない。こうした状況を現場にいって確認することで、具体的に把握できます。現場に合ったものが提供できるよう、次の段階では実業務にフィットした形になるようにもう一段レベルを上げたいですね。

AKIBA 境:研修の様子を拝見して、参加者の皆様が生き生きと取り組んでいること、「こんなことが自分たちでも出来るんだ」とおっしゃっていたことが印象的でした。
今回、すぐにでも実装できそうなアイデアも多かったので、できるところから実施していっていただければと思います。AKIBAも今後現場で実装できるようお手伝いできればと思っています。

ハッカソンで考えたものが、実際にモノになって現場に導入されるところに、今回の研修の意義があると思います。まず今回参加したメンバーを中心に、現場で活動を広げて頂くのがよいのではないでしょうか。

(取材・文:後藤銀河)

 

御社の人材にIoTという切り札を

DMM.make AKIBAでは、事業会社の新規事業開発を実践的にサポートすることを目的とした「企業向けIoT人材育成研修」を提供しています。

IoTを語れる、活かせる即戦力、新しい価値観や新しいサービス、新しい市場を生む人材の育成をサポートし、「IoTとは何か」を技術とビジネスの両面を体系的に学ぶことを狙いとしています。

研修では経験豊富な講師陣が、基礎知識のレクチャーをはじめ、技術・ビジネスの両面でアイデアのブラッシュアップ、そして成果物となるプロトタイプ完成まで、一貫したサポートを提供いたします。

研修に関する詳しい記事はこちらをご覧ください

境 理恵
光学機器業界を中心にデザイン検討用モックアップ制作やディレクションを手掛けてきた経験を活かし、DMM.make AKIBAの立ち上げから参画。 現在は企画運営のプロデューサーとしてDMM.make AKIBAのリソースを活用した新規事業の立ち上げと、広報に注力している。
日野圭
DMM.make AKIBAのテックスタッフとして、施設運営および電気系・クラウド技術が関わる受託開発を担当。 大阪市立大学大学院修了後、日本電気株式会社にてコンピュータ回路設計とFW設計を経て、ワークステーションのOEM開発PMを担当。要件検討から保守まで、複数の企業とのハードウェアビジネスを経験。 その後、ビッグローブ株式会社にてWebインフラおよびDBを担当。2016年より現職。
                    お問い合わせはこちら
FACTの最新記事をリアルタイムでお届けします