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DMM.make AKIBAのビジネスメディア「FACT」

アパレルもイノベーティブでなければ生き残れない――「ジーユー」の考える「経営者育成」とは

消費者の志向が激しく変化し、マストレンドの創造が難しくなっている現代のファッション市場。ファーストリテイリンググループでファッションブランド「GU」を展開する株式会社ジーユーは、「無意識にこれまでの成功体験にしがみ付き、お客様のニーズからかけ離れた経営に陥ることに危機感を抱いている」という。
新しいファッション体験を提供するために、イノベーションを推進していく人材を育成しようとする同社の取り組みについて、人事部部長・西田啓介氏、同部・堀籠知也氏に話を聞いた。

 

 

――現在「ジーユー」が抱えている課題意識とは何でしょうか。

 

西田氏:ジーユーを取り巻く現状についてですが、昔のように単に服を作って売るだけでは通用しなくなってきています。ファッションの発信地は、ニューヨークやパリ、ロンドンなどの「コレクション」から世界中の「ストリート」に移っており、生活者も日常的にあらゆる情報に触れ、買い方や着こなし方にも自由な発想や個性が溢れています。消費者のニーズも個々に多様化し、マストレンドとは無関係にInstagramのようなSNSで「等身大の個を表現したい」という指向に変化していますね。

一つのブランドが見せるファッションや世界観で、「これが旬なファッションだ、これが売れているぞ」といった押し付けがましい売り方はもはや限界にきています。こういった売り方ではマストレンドを掴むどころか、むしろお客様から支持を得ることさえ難しくなっています。

 

社員一人ひとりがイノベーター思考を持つことの大切さ

こうした状況において、社員一人ひとりが今までの延長線上で働いていてはチャンスを逃してしまいます。今世の中がどのように変化していて、何が重要なのか、何が本質なのか、という感度を全社員に持って働いて欲しいと思っています。人は意識しなければ過去の成功体験に引き摺られ、視野が狭くなりがちです。常識を疑い、新しい考えを取り入れ、商品開発や販売の現場でイノベーションを生み出せる会社にしたいと考えています。

 

私たちは日々商売をしており、数多くのリアル店舗を運営し、お客様に洋服を買って頂くことで利益を上げています。そのため全ての店舗で地域のお客様にご満足頂けるよう、店長や従業員は規律高く安定した店舗運営をする必要があります。この規律とイノベーションは一見相反するものと捉えられがちですが、それらを融合させられる人材を育てていきたいというのが我々の考えです。

店舗には「運営」についての基本的なルールが多く存在します。日常のリアル店舗の運営が私たちの「商売の真髄」ですから、現場ではそれらのルールを遵守し徹底するという力学が働きます。その上でいかに売上、利益を出していくのかという発想になりますが、目の前の商売に集中する力が強ければ強いほど社外に目が行かなくなってしまいます。

 

なぜジーユーがこの洋服を、このタイミングで売っているのか。競合はどういうものを売っているのか。

競合の売り方を見たり、複合商業施設に入居している店舗であれば、どんな食事が人気で、そこにはどんな服装の人が来ているのかを調べたりする。業態を越えて世の中で何が受け入れられていて、何が受け入れられていないのか。様々なことに好奇心とアンテナを持ち、そこから得た情報を基にして、ジーユーには何が出来るのかを考える。

今の商品、今の売り方で本当に良いのか、常に考えて検証し、自ら進んで全社に提案できるような人材が必要です。

 

店舗の基本オペレーションを踏まえ、さらにイノベーションを考えられること

清掃がうまくできていない店舗があったとして、今までの発想では「清掃スケジュールを立てて徹底しよう」ということになります。一方で「汚れないようにするにはどうするのか」「汚れが自動的になくなるようにするには何ができるか」と考える。例えばですが「夜中に自動で掃除する仕組みを作れれば全店舗の作業が大幅に減る」といった提案は、なかなか現場からは上がって来ませんでした。

既存の枠組みの中でマニュアルに沿って考えているだけではダメだと自分で思える社員になることが最初のステップです。現場で活躍している全社員を、将来的にはイノベーションが推進できるような人材に育成したいと考えています。

 

――お客様とのタッチポイントであるリアル店舗の課題を解決できるような新しい発想を、店舗で働く従業員に求めているということでしょうか。

 

西田氏:ジーユーでは、代表の柚木(株式会社ジーユー代表取締役社長 柚木治氏)も含めて「ベンチャー精神を忘れないでいこう」という考えを大切にしています。世の中にWow!と思われることであれば、それは誰が提言してもいい。新しい発想による新しい提案が出てきたら、まず一回やってみようとチャレンジする風土を持ち続ける企業でありたいと思っています。

 

均質なチェーンストアから個店経営という考え方へシフトする

これまではチェーンストアとして、店舗での規律をしっかりと保ち、どの地域でもお客様に均一の満足を提供するという発想が中心でした。しかしお客様のニーズや年齢層も地域によって異なります。ここ1~2年は、店長やスタッフが自ら考え、その地域のスタッフと話し合いながら、それぞれの店舗の色を出していく「個店経営」を推進しています。スタッフが主体性を発揮し、地域密着型で意見を出し合う。個店の特徴を踏まえて、商品の品ぞろえやレイアウト、マーケティングなどに工夫を加える経営を実践しています。

 

店舗ごとに、どんなお客様が、どんなニーズをお持ちなのか、地域の方々と話をしたり、情報収集をしたりして、知恵を絞ってお店を変えていく。これからは、卓越された店舗オペレーションの遂行に加えて、個店経営による新しい発想、柔軟な発想が必要になると考えています。

 

また、2018年11月に次世代型店舗「GU STYLE STUDIO」を原宿にオープンしました。ここでは、自分のオリジナルアバターを作成して、ジーユーのさまざまなコーディネートを楽しむことができています。そして気に入ったアイテムはオンラインストアでそのまま購入できますので、買い物を楽しんだ後でも「手ぶら」で帰ることができます。これまでの考え方とはまったく違う新しい店舗になりますが、これもイノベーションへの取り組みのひとつです。

 

――DMM.make AKIBA(以下、AKIBA)の施設には、電子ミシンやレーザーカッター、3Dプリンターなどのデジタルツールがあり、ファッションテックとかロボットを着ようとか、新しいことに取り組んでいるたくさんの人たちが集っています。今後何かコラボできるかもしれませんね。

 

西田氏:先日お店で実際にあったことですが、お客様が店舗でズボンの裾上げを頼むと「混雑していて約40分かかります」とスタッフが回答していました。そのお客様はお急ぎだったので購入せずに帰られました。例えば「レジで1~2分で裾を切ると同時に縫えるツール」など、待ち時間をゼロに近づけるアイデアは一緒に作れるかもしれません。従業員一人ひとりが色々なことにアンテナを立てて、日常的に取り込むことができるようになればジーユーはもっと面白くなると思います。

DMM.make AKIBAでの3Dワークショップの様子

 

――色々な試みをされる中で、今回AKIBAの企業向け研修サービスを導入しようとしたきっかけを教えてください。

 

堀籠氏:日経BPから発刊されている「リアル店舗の逆襲~対アマゾンのAI戦略~」という、国内の小売の最先端事例が描かれている本があります。内容的にもジーユーの若年層に是非読んでほしいと考えていたのですが、この中にAKIBAの施設が登場しています。それならば、実際にAKIBAで最先端の技術や事例を体験させてみよう、と考えたことがきっかけです。

 

スタートアップとのコラボレーションの流れに自分たちが乗り遅れるかもしれないという危機感

AKIBAに集うスタートアップの技術を使った製品がジーユーから出たとしても、本来は何の違和感もありません。ですが、実際にはそういう動きを起こせていないということに、個人的に大きな課題意識を持っています。スタートアップとのコラボレーションという流れからジーユーが取り残されてしまうのではないかという危機感があります。

 

――実際にAKIBAの施設を見学し、3Dワークショップに参加されて、どのように感じられましたか?

 

堀籠氏:参加者からは「刺激的でした」という声もありましたが、施設の見学だけで何かが大きく変わるとは思っていません。参加者が満足していれば良いということではなく、研修を通して参加者の視野を広げ、視点が引き上げられているか、知識として何が残ったのかにシビアに目を向ける必要があります。一人ひとりが「変革の主体者」として、確実に引き上げられているか。AKIBAで見たことを「原体験」として持たせつつ、商売人としての基礎や強みを備えた経営人材をどう育てていくのかが重要な課題だと思っています。

 

(取材・文;後藤銀河)

 

 

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