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DMM.make AKIBAのビジネスメディア「FACT」

電通グループ・DMM直伝!新規事業を成功させるための要件定義書と提案依頼書作成のコツ

企業の新規事業担当者向けのイベント「サラリーマン・イノベーターの成功確率をアップするセミナー&コミュニティby DMM.make AKIBA×電通・電通デジタルWonderful Prototyping 」が、2018年11月16日にDMM.make AKIBA(以下AKIBA)で開催された。

イベントでは新規事業に携わるビジネスパーソンが押さえるべき書類作成のポイントや、要件定義書の実例が紹介された。

 

 

本イベントの主催は、マーケティング視点から企業のイノベーション活動を並走して現場に関わってきた電通・電通デジタルのイノベーションチームWonderful Prototypingと、IoTを中心とした試作や事業開発、企業とスタートアップの共創活動に関わってきたDMM.make AKIBAだ。司会進行はWonderful Prototyping プロデューサーの吉田淳氏と、AKIBA コミュニティマネージャー 上村遥子が務めた。

 

電通・電通デジタルが新規事業を支援するWonderful Prototyping

始めに吉田氏は、電通・電通デジタルが新規事業支援チームを立ちあげた背景として、広告代理店の更なる可能性にチャレンジしたいという想いがあったという。このチームが目指すところはクライアントとの受発注という関係性ではなく、イノベーションに取り組む企業と並走し、共に成果を生み出せる関係性の構築だ。

 

一般的に新規事業立ち上げに関しては、「0を1にする」最初のステップが大変だとする声が多い。吉田氏は、これまでの支援活動によって感じたこととして、イノベーションを起こすことが難しいのではなく、そこへのプロセスに課題があるとする。そして、困難な状況に直面する新規事業担当者に対して、具体的に何をどうすれば良いのかを明確化し、プロトタイピングへと導くところに、電通グループの支援チームの価値があるとした。

 

AKIBAが提供する企業向けIoT人材育成研修

司会を務めたDMM.make AKIBA コミュニティマネージャー 上村遥子

 

続いてAKIBAの上村は、AKIBAが企業の新規事業支援を始めたきっかけに触れている。ハードウェアスタートアップの活動拠点であるAKIBAには、これからIoTやAIの技術を利用した新規事業をやってみようという方々がコミュニティへのアクセスを求めて集まってきて、スタートアップと同じような動きを始めている。こうした繋がりの中で、新規事業立ち上げについての課題や悩みが多く聞かれるようになったという。

 

そのためにAKIBAで提供を始めたのが企業向けIoT人材育成研修だ。IoTを語れる人材、新しいサービスや新しい市場を生む人材の育成をサポートし、「IoTとは何か」を技術とビジネスの両面を体系的に学ぶことを狙いにしている。

 

相談を受けてから案件化するまで数カ月、3分の2以上がフェードアウトする

トークセッションではAKIBAのテックスタッフリーダーの山口潤とWonderful Prototypingのプロデューサーである電通の片貝朋康氏も交えて、さまざまな新規事業を支援する側から見た現状について語られた。

 

電通 片貝氏(左)とAKIBA 山口(右)。

 

山口:新規事業に関する相談で一番多いのは、今まで「ものづくり」に関わってこなかった企業の案件ですね。作りたいもの、やりたい事はほぼ決まっていても、どのように作るのか、どう進めるのかが分からないという方が多いと思います。

 

吉田氏:AKIBAで相談を受けてから案件が明確化して決まるまで、どれ位の時間がかかっていますか?

 

山口:まったくノーリサーチで相談に来られる方もいますので、案件化に3カ月程かかることもあります。

 

吉田氏:片貝さん、これまで電通としてやってきた広告代理店関係では、どれくらいの期間がかかっていますか?

 

片貝氏:何も決まっていない状態で始まる場合が多く、半年くらいはかかっていますね。しかも、相談を進めている間に、9割は案件化せずに終わってしまうような感じです。

 

山口:AKIBAでも、途中でフェードアウトせずに案件化するものは2~3割ほどに留まります。

 

吉田氏:このあたりが、「0を1にする」のが難しいと言われていることだと思います。建設的に前に進めるために何が必要だと思いますか?

 

何がやりたいよりも、なぜやりたいのかが大切

片貝氏:新規事業として何がやりたいのかよりも、なぜやりたいのかがはっきりしている必要があります。新規事業を立ち上げたいというのは、本当の理由ではないはずです。体制やお金の問題というよりも担当者の気持ちの部分で、なぜやりたいのか整理されていないと、僕たちの提案とマッチするまでにすごく時間がかかってしまいます。

 

多くのクライアントと話したが、決断できた人はほとんどいなかったと振り返る片貝氏(中)。新規事業の肝は、なぜやりたいのかという部分にあるという。

 

片貝氏:僕が広告の現場でずっと話していることは、「No Decision No Discuss」。これは結論がでないなら話す必要がない、という意味です。打ち合わせの中で問題点を見つけて、次に一緒に解決しようとか、こういうビジョンを共有できたから、次はソリューションを一緒に開発しようとか。最低限そこまで話ができないと、ビジネスとしては不十分だと考えています。

 

Opinion(意見)をDecision(決定)にするには適度なバランスが取れている必要があるという。

 

片貝氏:Decisionに至る関係を理論化したのがこの図です。ここで、「Opinion」は自己実現や社会実装したいと皆さんの想いや、会社としてのミッションになります。これに影響を与えるのが、会社の業績や会社トップの意見などの「Situation」と、我々の業界でいうとメディアに相当する「Information」です。これに引っ張られるとOpinionがDecisionにならないということが起きます。我々は、このOpinionをDecisionにして世に送り出すところで勝負しています。

 

吉田氏:あと、案件化に時間がかかる要因に調査不足があると感じています。これが作りたい、こういう方向で進めたいという具体的なビジョンがあっても、それについてまったく調べていない。数カ月かかっているものは、半数以上が基礎的なことがわかっていないというケースです。

 

0を1にするためのポイントは、依頼内容の明確化

言い換えると「相談したい」と「依頼したい」は全く違うということです。特にスタートアップのスピード感では、いつ案件化するのか分からないような相談にはとても付き合えません。逆に、技術領域や周辺領域まで調べた上で話していけば、依頼したいという本気度が相手に伝わります。

 

上村:AKIBAでも2014年のオープン以降、IoTを得意領域としてきましたが、「IoTに取り組みたい」というふんわりした相談が増え、駆け込み寺のようになっていると感じています。実際にIoTと言われて話を聞いたところ、実はAIの案件だったり、ブロックチェーンだったり、IoT以外のソリューションを求めている場合も少なくありません。

 

「IoT」というバズワードによって、やりたいことが誤解されることがあるという。

 

上村:企業担当者が取り組みたい「IoT」と、やりたいと伝える相手の考える「IoT」の定義が違っている。コミュニケーションの齟齬による困りごとが生じていて、これをきちんと整理できるようにするため、IoT人材育成研修としてパッケージ化しました。この研修を受けることで、IoTを自分たちのビジネスに応用させるために必要な基礎知識を身につけることができます。

 

IoT人材育成研修では、IoTの基礎知識から試作支援までカスタマイズ可能なサポートを提供する。

 

上村:IoT研修といっても、雑誌で読むようなIoTガジェットの面白さを取り上げるのではなく、IoTのポテンシャルと、それによってもたらされる価値やメリットを理解し、自社の事業にどう取り入れていけば面白くなるのか、という視点を持つための講座です。さらに、課題やアイディアをきちんと整理して、社内や社外のパートナーと話ができるようなワークシートを作るアイディア創出ワークショップや、そのアイディアのプロトタイピングをサポートする試作支援プログラムも用意しています。

 

自分の考えを具体化して説明するためのツール

吉田氏:研修の中でIoTを学ぶだけではなく、実業務で社内外の人に説明するための武器にある要件定義書が手に入るのが大きいですね。このプログラムによって、「IoTで何かできるのでは」というボンヤリした状態が、周辺領域についても理解しインストールされた状態で、「具体的にこれをやって欲しい」と言える状態になるわけですね。

 

 

吉田氏:要求定義が明確になると、コミュニティの中でも、誰とどうつながれば良いのかも明確になります。例えば電通がつながっているベンチャー企業の中から、適したソリューションを提供できるよう、私たちが仲人することもできます。

 

要求定義書と提案依頼書(RFP)とは

吉田氏:ここで、「要求定義書」は自分たちの事業プランなどがまとまっている資料で、「提案依頼書」(RFP:Request For Proposal)は依頼したいことがまとまっている資料になります。これを作ることで、依頼内容が明確になり、結果として短い期間で案件化できることになります。

 

とある地方新聞社の新規事業立ち上げで記入した例。

 

片貝氏:これは、簡単にまとめるための「ペライチシート」として、Wonderful Prototypingで使っているものです。

 

論点1のWHATは、社会課題や、自分たちのあるべき姿になります。論点2のWHYが、これまで説明したように一番大切なところで、なぜそれをやりたいのか、です。そして論点3のHOWをあぶり出した上で、絶対にブレないコアとしてSCOPEを固めます。そして、CHANCEとRISKをパラメーターとして見ることが、ビジネスとしては重要です。そして、忘れてはいけないのが、常にこれがFACTなのかどうかを反芻することです。

 

ペライチシートを記入することで、やりたいことが整理できる

吉田氏:ここまでまとめて頂いていれば、ではどの案でいくのかという提案までスムーズに運ぶということですね。マーケターが描くリーンキャンバスの一種で、どうしてやりたいのかに着目して整理することで、より精度の高いプランが生み出せると思います。

 

上村:これは、AKIBAのアイディア創出ワークで使用するワークシートです。IoTサービスのアイディアの整理および可視化に適していて、座学でインプットした知識を、最適な形でアウトプットし、持ち帰ることができます。

 

AKIBAのIoTサービスアイディア創出ワークショップで使うワークシート。

 

上村:IoTの基礎知識を学べる講座を受講して、IoTの本質とポテンシャルを理解したうえで、このシートの左側に、実現したいアイディアの機能的な価値や情緒的な価値、ターゲットユーザーなどのサービス内容を整理します。そして右側で、そのサービスを実現させるためのシステム構成と、用いる技術について整理します。そして下段で、試作にあたり最初に行うべきコンセプト検証の内容を検討し、どのようにマネタイズするのかを検討します。

 

このシートを埋めていく中で、自分たちが足りていない部分が整理できます。それを補うために誰と話をすれば良いのかが考えられる。もちろん自分たちでゼロからプロダクトを作るときの整理にもなりますし、アイディアを社内で説明するときにも使えます。

 

イノベーションを起こすためのポイントは、組織論よりも情報の網羅性と参照速度

広く新規事業立ち上げを支援する電通グループのWonderful Prototypingと、AKIBAが提供するIoT人材育成研修。それぞれマーケティングとIoTという切り口は違えども、企業の新規事業担当から受ける相談は共通していると言えるだろう。

 

Wonderful Prototyping の吉田氏は最後に、イノベーションを起こすためのポイントは相手によって違うとし、情報の網羅性と参照速度が早ければ、最適なソリューションに向かって効果的な支援ができるようになると述べ、要求定義書とRFPを書くことの重要性を強調している。

 

(取材・文:後藤銀河)

 

 

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